日本百名山 剣岳(2、998m) |
リーダー 加藤正 |
2008年9月12日(金)13日(土) |
参加者:L加藤(正)、SL和田(富)、生澤 森、高橋、石村、平田、鈴木、寺尾、小泉 野口、阿部、別所、鈴木夫妻 計15名 |
さすがに岩と雪の殿堂 剣岳を登るのは難しい。それも強者と弱者の混成隊である15名が登るということになると、山行計画そのものも一転二転した。 当初は人気コースである別山尾根を予定し、登りカニノタテバイから山頂に達し、 下りカニノヨコバイを経て下山し、そこから立山縦走を考えた。しかし、最近の山行の数々や白山、荒島岳山行をみているとこの計画は無理だと考えられた。 アルコの仲間の多くは高齢化とともに、気力はともかく体力面の衰えは目立ち始めており、もう少し岩場の要素の少ないコースで、しかも2泊3日で剱岳を登るコースとして早月尾根を選択することにした。 しかし、剱岳の早月尾根は岩登りの要素はすくないにしても、長大な尾根であり、登山口の馬場島/標高750bから出発して、早月小屋/標高2,200bまで標高差1,450bを登ることが難関であり、ここをどう突破するかがあった。 ここを突破し、あとは天気さえ安定していれば、剱岳は楽勝と考えられたのだが、、、。 11日(木)23時、昭島駅をマイクロバスにて出発 12日(金)早朝、まだ暗い時間に馬場島に到着、明るくなってから出発する。先頭リーダーは最近、歩き方と人柄で評判を上げている SL nama-chanに。馬場島までの標高差1,450bを託す。ここの突破が無難にいければ明日は明るいと思った。 天気は快晴であり、申し分ない。もう気配は秋であり、涼しい中を登る。長大な尾根であり、これがむしむしする夏の尾根であればたちまちバテルであろうが、今日は条件としては最高である。 誰かが「この天気は明日も持つ。」断言する。明日も快晴の剱岳を登れるのかと全員の気持ちはルンルン気分であった。早月小屋手前はこれが剱岳の片鱗である。花崗岩の岩場があらわれるが、これも楽しくこなし、早月小屋に入った。 快晴の中、小屋からは剱岳山頂が見え、小窓尾根の岩尾根が剱にやってきたという思いを感じさせる。つくやいなや小屋前のベンチでアルコ名物大宴会が始まる。快晴の中の宴会は陽射しが強く暑い暑いと思っていたが、山の天気は解らない。たちまち陽射しをさえぎる雲が出ていた。 その夜は早月という大部屋に全員15名が、一室を独占してゆったりと寝られた。12時頃起きて外に出てみるが、星明かりはなかった。 13日(土)5時出発する。 不覚にも今日は先頭に立ってリードする立場であるにもかかわらず、昨日の大酒が祟ったか、やや二日酔いである。 出発間際に早月小屋のオーナーは「天気は下り坂です。」と言った。昨日の快晴の残像が頭にあり、午前中くらいは天気はもつだろうと甘く考えていた。 また重ねて小屋のオーナーから「今夜は泊まるのか、泊まらないのか、はっきりしてください。こちらとしても対応しなければならない。」とも言われた。13日は連休入りで小屋は満杯と聞いている。出来れば泊まりたくない。しかし疲労困憊して山頂から下ってきた時はお世話にならなければならない。 そこで中途半端に泊まるような泊まらないような依頼をしていたからオ−ナ−もどちらかにして欲しいと言う。しかし、昨日、1,450bを登れたパーティである。山頂に登って、今日中に下山したいし下山できるだろう。「下山するよう努力します。」と応える。 小屋からの山頂への路は変化に富んでいる。花崗岩くずれの岩場あり、いまにも落石がありそうな急勾配を登ったりして、2,600ピークに立つと、ここからは山頂が目の前に迫り、迫力がある。 ところがこのころ雨が降り出した。いよいよこれからと言うときに雨だ。雨具を着用する。内心、3,000bでの雨は要注意、乾いた岩場はフリクションが効いて快適だが、濡れた岩場は滑って危険だ。いつ撤退宣言するか、考える。 しかし出来るだけ山頂に行きたいという人は多いだろう。それを考えると前進あるのみだ。岩場が多くなり、手足全体を使うクライミングの要素が多くなる。岩場を登り2、700b鞍部にて休憩する。 その時、SLトミ−から「今夜小屋には泊まれるんですか」という。多分、雨の中、このまま行けば山頂往復で疲労困憊した場合、小屋に泊まれるかを心配したのだと思う。「もちろん、泊まれる。小屋は疲労したものを受け入れざるを得ない」 と応える。 そこへ最後に上がってきたSLnama−chanも、「この雨の中、これから先回復しそうもない中、登るんですか。」という。 二人のサブリーダーが心配する。いつ撤退宣言するかを考えていたし、このまま雨の中、登って疲労困憊して満員すし詰めの小屋に頭を下げて入れて貰うより、余力のある内に早月尾根を下山しょうと考えた。 一部、不満の声あるもここで撤退宣言して引き返す。 ところがここからハプニングがあった。 今日は物事がまわらない日だ。と下山しながらぼんやりと考えていた時、突然、su-maが叫ぶ 「誰かが落ちた。」という。つづけて「SKさんが落ちた。」という。しまったと一瞬思う。雨で滑りやすい岩場だ。滑って落ちたのだ。路を回り込んで行ってみると緑濃い山肌にSKがたたずんでいる。瞬間、これは大丈夫だなと思う。 幸いなことに岩場で滑り、もう一人にSさんにぶっかり、灌木で跳ね上げられ緑濃い草むらを20bほど滑り、下の灌木帯で止まったのだ。 自力で路まであがって貰う。どこにも怪我や打ち身はなしという。正直、よかったと胸をなで下ろす気分で、ホッとする。奇跡的ですらある。 これが岩場帯であったらとんでもないことになっていたろう。ご本人自身に運があったのだろう。 なんとか早月小屋にたどり着き、一息休憩の後、早月尾根をSLトミ−を先頭に下る。この先頭リ−ダ−の交替制はよかった。それぞれがそれぞれのところで交替する。先頭にいないときは物事を冷静に客観的に判断出来る。 登りは快晴の中、すずしく登ったが、下りはぐちゃぐちゃする路を下る。岩場も滑る。木の根も滑る。雨具を着ているから汗をかく。厳しい下山となる。それでも余力を残しているメンバ−であり、余裕をもって下ることが出来た。 今回は残念ながら剱岳を登ることが出来なかったが、「山は逃げない。」いずれまたアルコの仲間と来ようと思う。バスの中は山頂こそ登れなかったが、なんとはなし充実感があり、また性懲りもなく宴会は始まった。 この文章を書いているときに突然電話があった。剱岳山頂から会員のNAKAJI−PAIRからだ。14日朝4時半に馬場島を出て6時間半かかり、11時に剱岳山頂に着き電話しているとのことであった。今日の剱岳は雨こそ降っていないが展望なしとのことであった。 |
(記:加藤正) |
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