本邦第2位の高峰
北岳 3,192m 
白峰三山縦走 北岳−間の岳−農鳥岳
リーダー   加藤正 
2009年9月19日(土)〜21日(月)

参加者 L加藤正、小堀、平田、加藤利、武藤、大賀、別所、阿部、遠藤
     計9名

19日(土)
 ムーンライト信州91号、立川駅午前0時34分発に乗車し、午前2時21分に甲府駅着。甲府駅午前4時に9人乗りジャンボタクシ−に乗車。5時半に夜叉神峠のゲ−トが開くと同時に待機していたバス、タクシ−が連休の登山客を満載して、なだれ込むように広河原向けてスタ−ト。
 広河原に午前6時半前後に到着。ストレッチを行いすぐに登山開始。
 
 今日は広河原(標高1,530b)から標高差1、660bを登り切り、北岳山頂(3,192b)まで登り、さらに北岳山荘(標高2,900b)に入るという計画。
 ほとんど寝ていないので、行き着けるか一抹の不安があるが、途中には白根お池小屋、肩の小屋があり、万一の場合にはエスケ−プできるという安心もあった。
朝の澄み切った樹林帯を登るにつれて頭がハッキリとしてきて、ゆっくりとではあるが順調に歩をすすめた。
 草スベリは白根お池小屋(標高2,200b)から標高差800bで小太郎尾根分岐に出る。ここを一番の難関とみていた。真夏なら蒸し暑い草スベリであるが、今日は涼しい上に草紅葉の中にナナカマドが真っ赤に映えていて楽しませてくれる。ゆっくりとなんども休憩を取り、3時間半でここを突破する。
 小太郎尾根の稜線に出ると一気に展望が開け、甲斐駒ヶ岳、鳳凰三山、仙丈ヶ岳、富士山など一望する。展望は疲れた身体になによりもご馳走だ。なんとなく元気が出たようにも思えた。
 肩の小屋にて小憩し、一気に頂上を目指すが、やはり3,000bともなると高山病が出てくるのか、一部で遅れ勝ちとなる。それでも全員頂上に立ちアルコ名物、頂上集合写真を撮ることが出来た。頂上からの展望は最高だ。周囲の山々がハッキリくっきりと展望出来た。至福のひとときだ。
 北岳山荘はすぐ真下に見えているが、なかなか近くて遠い。ゆっくり、ゆっくりと下降し午後3時半頃、北岳山荘に入ることが出来た。
 連休であり登山客殺到している小屋の寝床であるが、本日は一人一枚の布団に寝られて一安心、寝不足一気に解消すべく消灯と同時に寝ていた。その夜、満天の星空だったと言うことであったが、寝てしまっていて見逃してしまった。
 
  
20日(日)快晴
 朝なにげなく小屋の看板をみたら、「今日は一枚の布団に2名ないし3名でお泊まりいただくようになります。」とあった。19日に無理して出掛けてきたのがよかった。
 今日は間の岳と農鳥岳越えである。快晴であり、朝方は風が強い中を山荘を出る。
 間の岳(3,189b)は富士山、北岳、奥穂高についで第4位の高さを誇る堂々たる山である。農鳥岳(3,051b)でも第15位であり、白峰三山は3,000bの稜線歩きを楽しむにはいい山域である。しかも本日は快晴であり、条件としては最高に恵まれている稜線漫歩を楽しむことが出来ると思っていたがゆっくりと歩くも休憩が多くなる。3,000bの稜線には高山病が似合う。いつの間にか、これがしのび寄ってきていたのだ。
 間の岳は広々とした山頂であり、堂々たる山容によくマッチした山容である。ここから先の農鳥岳、大門沢はリ−ダ−としては初めてのコ−スであり、農鳥岳とはどんな山か楽しみだ。
 間の岳から農鳥岳に向かう。広い山腹を下降するが、これが濃霧や雨のふっているときだったら難儀だと思う。かの農鳥小屋は近かった。なんと14棟もの小さい小屋が点在。小屋手前の空き地で休憩。この小屋のオーナーは有名というか悪名高いので有名であり、どんな人か、興味もあったが、とくに合う必要もないとおもっていたら、小屋の敷地を出ていくとき、オーナーが出ていて、一言「悪いけど、そこの枯れ草は踏まないでください。」と言われてしまった。草に見えるが貴重な高山植物であり、当然の一言であり、納得して小屋を跡にする。
 西農鳥岳を目指しゆっくりと登る。通常1時間40分であるが、それ以上かかって西農鳥岳手前に11時20分に達する。しかし、後続がなかなか来ない。この時、高山病が後続に現れていて遅れているが、こればっかりは致し方ない。待機する。待機している間に展望を楽しむ。西農鳥岳手前のピークからは塩見岳がほぼ近くに見え。遠く荒川三山、とくに悪沢岳が目立ち、その奥には赤石岳が姿を現していた。ここからは伊那谷が見え、反対側には甲府盆地が見えていた。
 ここでいろいろと話題になったことは西農鳥岳はどこかということと、農鳥岳山頂はどこだということだった。今、われわれのいるのは時間からして西農鳥岳手前であるが、農鳥岳山頂付近は平らな稜線が続くだけで、顕著なピークが見えない。よく見ると平らな稜線の一角には人が群がっていて、あそこが農鳥岳かと納得する。
 ほぼ12時に農鳥岳に向けて出る。 すぐに西農鳥岳らしいピークを二つ迎えるがどれが西農鳥岳か解らない。ここには西農鳥岳の山名を表示する案内板は一切なく、登山者はとまどうばかりであり、現在地確認するためには西農鳥岳の標識や木柱は必要であろう。
 ほぼ1時間ばかりで農鳥岳山頂に至る。来てみれば山頂らしい雰囲気であり、この山頂を踏むと白峰三山縦走はほぼ終了と言うことで、気持ち長めに休んで、今日の泊まり場大門沢小屋を目指す。
 広い山稜を下る。今日は好天であり、コースがよく読めるが、この山稜は濃霧とか、強い雨の中を下るとなると難しい山稜だなと思いつつ下る。間の岳から農鳥小屋への下降といい、農鳥岳から大門沢下降点への下りといい、どちらも難しいところだけに、事実、過去に遭難が発生しているのも納得させられる。
 予定時間40分で大門沢下降点の分岐に至る。
 すでに大門沢下降点では14時であり、小屋まで3時間掛かるとして小屋に入るのは、17時くらいになるだろうとの話題も出ていた。17時ころは先行する縦走者が数百人先行していて小屋は満杯であり、北岳山荘の今朝の看板に出ていたように、一つの布団に2ないし3人にナルだろうとのいやな予感もしていたが、これははずれた。
 白峰三山縦走の最後の難関は、大門沢の下降にある。小屋まで1,000bを下る。体力的には厳しい下降であり、岩場帯を下るので危険でもある。いやらしい下降だ。慎重に下るが、ちょつと危ない場面もあってヒヤリとしつつも大門沢小屋が見えたときはホッとした。予想よりも早く16時半に小屋に入ると予約してあったお陰で二人用布団を一人で利用するという余裕であり、飛び入り客は二人用布団に二人が寝かされていた。
 夕食はあっさりとした食事であった。宴会も7時半そこそこに就寝する。
 
 
 21日(月)朝方 晴れ
 朝方 晴れていた。昨日、小屋からは富士山が見えていたが、今朝は見えない。確実に天気は下降している。
 下山の日であり、今日は、また大門沢をさらに下る。出始めから悪い。沢の脇の道を下る。丸木橋も数カ所あり、雨で丸太が濡れたら危険であろうが、今朝は乾いた丸太橋を渡るがそれでも悪い。大門沢は水量豊富に流れ、さすがに南アの沢だけのことはある。
 大門沢だけなら8時間半かけないと稜線に抜けないし、下降だけでも5時間半から6時間は掛かるおきな沢だ。昨日は2時間半下降し、さらに今日は3時間下る。緊張は最後の最後まで解けない大門沢も吊り橋を2ヶ所ようやく終えた。
 
 今夏、アルコは南アルプス集中の計画を立てた。8月は仙丈ヶ岳と甲斐駒ヶ岳を登る事が出来た上に、今度は白峰三山縦走で北岳と間の岳、農鳥岳と登り、なんとか無事に終了することが出来たのは参加メンバーに感謝したい。
(記:加藤正)
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