鹿島槍ヶ岳   
2006年7月29日(土曜日)〜31日(月曜日) 

    参加者  L加藤、袖山、清水(マ)、寺尾
茅原、渡辺(テ)、清水(ト)、石村、仁科
 計  9名
 
〈行程〉   
[28日] 
午後10時30分ワゴン車にて昭島駅を出発。
       
[30日]
午前1時半扇沢着後、仮眠。
  
4時50分登山開始 → 9時30分種池山荘 → 11時45分爺ヶ岳 → 12時15分中央峰 → 13時40分冷池乗越 → 14時冷池山荘
  
[31日]
午前4時半登山開始 → 6時45分鹿島槍ヶ岳山頂 → 9時冷池山荘 → 12時種池山荘 → 3時20分扇沢登山口 → 8時20分昭島駅                                       
 


  
30日
 寝られない、今何時だ、まだ3時だ、睡れない夜をワゴンカーの中で過ごす。
 不思議な気持ちだ。9名が狭い車内で、同じ空気を吸って寝ている。睡眠に入っている人、みじろぎもしないが寝られない人、人それぞれだ。寝られなかった人はその後の登山で明らかに消耗しており、よく寝られた人は元気で明暗が分かれた。
   
 4時とにかく起床。
 車の外に出てみると満天の星空である。いい兆候と見るのか、梅雨空の一時的気まぐれか、梅雨はまだ明けない。また、満天の星空もいつまで持つか信用出来ない。
 とにかく天気がどうなるか解らないが4時50分扇沢の登山口から一歩を踏み出した。柏原新道は登りやすいことで知られている。山小屋のオーナーが何年もかけて整備したという。傾斜は緩く、足場も整備されていて、誰にでも登りやすい。登るにつれ針ノ木岳2821bがいい立ち姿で中空にそびえる。山頂部が格好いい、登高意欲を刺激する。ぐんぐん雲があがってきて、針ノ木岳の姿を現したり隠したりもする。天気よ、もってくれと祈る気持ちである。リーダーも眠れない夜を過ごした口であり、調子が出ない。半分寝て歩いている。反って、これが良かったのか。いいペースとみんなに言われる。
   
 4時間半で種池山荘にたどり着く。柏原新道に4時間半かかったことになるが、結果的によかった。暑い、山荘の前の休憩場所にいるのが暑くていたたまれないので、少し離れた天幕場の木陰にて休憩する。眠気はないがだるい。しかし食欲はある。しっかり腹ごしらへをして次に備える。ひょつとみると樹間に鹿島槍ヶ岳の南峰、北峰が頭を出している。あれ、あれが鹿島槍ヶ岳だと言う。目的の山は近い、ただ天気はいつまで持つのか、このまま天気が持ってくれと思う。
   
 爺ヶ岳南峰2670bを目指す。種池山荘を回り込み稜線に出ると視界が一気に広がり、誰もが歓声を上げる場所がある。そこからは左側から立山連峰、剣岳、そして目的の双耳峰の鹿島槍ヶ岳、爺ヶ岳が一望された。うしろを振り返れば針ノ木岳、蓮華岳を望む。いい展望だ。今日の泊まり場、冷池山荘の赤い屋根も近くに見える。天気は崩れそうにない。気持ちが明るくなる。
   
 爺ヶ岳の登りは睡眠不足の人にとってはつらかったかもしれない。半分寝ながら歩いている人がいた(☆子)。陽射しは強く、夏山らしい。爺ヶ岳南峰の頂上で快晴を確信した。雲行きこそ早いが紺碧の空は疑いもなく夏の空だ。
   
 6月、7月は雨に祟られてしまい、どこに行っても雨でうっとうしかった。先週の平が岳も晴れ、今週も晴れだ。ようやく雨の呪縛から逃れられたのか。天気が良くなればすべての弱点を隠す。今回の山行もいい展開となるだろう。頂上で寝ている人、表情の冴えない人がいる。二人にとって頂上からの大展望もうつろであるのかもしれない。
   
槍ヶ岳、北穂高岳、奥穂高岳もここからは見える。本当にラッキーだ。初めて来て、この展望を得られる人はなおさら幸運だ。先週の平が岳も晴れ、周囲の展望も最高であったが、2週連続参加の人は幸運二重丸だ。爺ヶ岳中の峰を経て、冷池山荘を目指す。
    
 種池山荘から途中いつも目の前に見えている冷池は遠かったが、全員無事到着。
   
 冷池山荘ではTERAさん大活躍、たこ部屋に招じ入れられたのに抗議し、広い部屋に替えさせたり、ビールを差し入れてくれたり、これまたTERAさんが重い思いをして担ぎ上げたオーデン(普通はおでんと言うのに、なぜにオーデンというのだろう)を全員が「旨い」、「おいしい」と大宴会をし、我々の行為は周囲とかけ離れた雰囲気で、周囲のひんしゅくを買ったこともよくわからないまま就寝。
   
   
 31日
 朝3時半起床。満天の星。今日もいい日となりそう。
   
 4時半出発、登山開始後、わずかでご来迎を拝む。真っ赤な太陽は力強く上がる。今日は鹿島槍ヶ岳の双耳峰を目の前にしながらの登山だ。高山植物も豊富だ。しかし、花の名も知らない人にとっては宝も持ち腐れだ。
 
 たった一つだけ覚えた。「野球選手の名前、キヌガサソウ」だった。
 
 布引山を越えると頂上は近い。展望は相変わらずいい。今年は大雪ということであり、剣岳、立山連峰の雪渓は大きく、あざやかである。
   
 あれは長次郎谷、平蔵谷の雪渓だといっても、我知る人しらずだ。かつて、八つ峰やチンネに遊んだ日々は遠い。
   
 頂上に出れば、雲一つない。後立山 五竜岳から白馬岳方向が見える。折り重なって見えていて、目の前の五竜岳ははつきりと確認出来るが、後はどれが唐松岳、白馬槍ヶ岳、杓子岳、白馬岳か、判然としない。すべて歩いた峰であっても、反対側から見ると混乱してしまう。ただとんがった峰は白馬岳と答えたが、白馬槍ヶ岳ではなかったかと思う。実は過去4回の鹿島槍ヶ岳行で頂上からの展望は剣岳方向ばかりが見えていただけで、白馬岳方向は初めて目にする。やはり今回、始めてきてこの展望を目 に出来た人は幸運と言わざるを得ない。しっかり山頂の展望を楽しむ。
   
 帰路は順調に、また、冷池山荘に戻り、疲れてはいるが、さらに種池山荘に戻るべく歩く。冷風が気持ちよく、歩きもはかどり、標準時間で種池山荘に戻り、さらに柏原新道をたどる。ここで珍事が発生。リーダーの一人歩きだ。パーティーの二番手NABEさんの歩きは実に見事。しっかりペースを守り、決してリーダーに迎合しないマイペースであり、パーティーはいつの間にか二番手を先頭とするパ−ティーとなり、リーダーが浮いてしまった。いつの間にかパーテイーとははぐれ一人歩きをしていた。いつであったか、NAKAJIと同じ新道を下り、いつの間にか、平坦な新道を駆け下りたい衝動に駆られ、一人先行し新道を駆け下ったことがあった。その時と同じ珍事だ。
  
 かれ曰く、「そんな下り方をするのなら、今後、つきあわないからね」といいながら現在も付き合っている。
  
 扇沢の下山口にワゴン車が待っていてくれるのは、実にありがたい。疲れた体が、即車中の人となり、温泉に入り、不思議な飲み物にありつける。
  
 今回も順調に車中の人となり、昭島駅に着いたのは午後8時20分であった。
 
 天気に恵まれた。「天気良ければすべてよし」を実感した鹿島槍ヶ岳行であった。
                                       
 
記/加藤     

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